- 働く
- 子育て
- 移住
ママ達の身体機能を回復させて街を元気に。
- 家族構成:7人家族(夫婦+5人の子ども達)
- 年代:30代
- 職業:ピラティス講師、施設運営
【目次】
スマホよりも、海と友だち
ももさんは、2人の男の子を育てるお母さん。長男は小学3年生ですが、まだスマホを持っていません。
その代わりに彼らの日常にあるのは、波の音や磯の香り。
都会の子どもたちと比べて、「うちの子は自然派の生活をしているなぁ」としみじみ感じるそうです。
ももさんの妹さんご家族は埼玉県で3階建ての家に暮らし、小学2年生でスマホを持っているとのこと。
一方で、ももさんの息子さんたちは、家の前で泳ぎ、魚を追いかけ、服のまま海に飛び込むこともある。
どこかのアジアの民族みたいだよねって、みんなで笑いました。笑
子育ての舞台は、海と空と山が広がる自然そのものです。

庭に海がある暮らし
放課後に子どもたちが駆け出すのは、家の前にある使われなくなった船着き場。そこはまさに「庭に海がある」ような場所です。
水着に着替える間も惜しんで、服のまま飛び込むことも。泳ぐだけでなく、アジ釣りをしたり、冬には藻場に潜んだカマスを捕まえて夕飯にしたり──。
「この前、藻の中を覗いたら魚が突っ込んでいくのが見えて、“取りに行こう!”って洋服のまま息子と突っ込んでいったら、大きなカマスが取れました。笑」
その魚はその日のうちに夕飯の食卓に並びました。
遊び場であり、食卓を支える漁場でもあるこの場所は、都会では考えられない“日常の贅沢”。
ももさん自身も、子どもたちを学校へ送った後や寝かしつけ後の夜に、家の前で「釣り」を楽しむことがあるそうです。
コチ釣ったり、イカ釣ったり。堤防の上からアジが見えたらすぐアジ釣りを始めちゃいます。釣り人にとっては最高の環境ですよね。笑
学校の授業でクエを釣る
羽島小学校では夏に『海辺で遊ぼう』という授業があります。
高学年は釣り竿を、低学年はバケツを持って、薩摩藩英国留学記念館の前で海と親しむ授業です。
「みんながカサゴをばんばん釣ってる中、うちの子が釣り上げたのは、なんとクエ(笑)。“高いやつ!”って盛り上がって、そのまま家の水槽で今も家族の一員として泳いでます。」

「正直、都会に比べると塾や習いごとの選択肢は少ない。でも、“自然と友だちになれる教育”はここでしかできない。」
祖母も「埼玉に住む妹夫婦の子どもたちを夏期留学させたい」と言うほど、ももさん達家族が暮らす毎日は外から見ても魅力的です。
庭でバナナを育てる
玄関先で青々と茂るのは、なんとバナナの木。
「玄関前にドンと植えちゃいました。笑」と笑うももさん。羽島に住むサーファーの友人から譲ってもらった苗をきっかけに、今では房が実るようになりました。
青いうちに収穫して、家の中で吊るして追熟。黄色くなったものから食べていく。
バナナって雑草みたいにどんどん出てくるんですよ。茎も水分が多いからサクッと切れて。我が家の無農薬バナナです。笑
収穫と伐採を繰り返しながら、南国のような暮らしを楽しむ日々。
「庭でバナナ育てて収穫できるなんて最高ですよね。窓から庭に実るバナナ見るのも好きなんです。」と、笑顔を見せます。

食卓に広がるバナナハート
さらに、花の部分「バナナハート」まで食べられると知り、フリッターに挑戦。
「中の花を衣にくぐらせて揚げると、サクサクしておいしいんですよ。」
全国の道の駅でもぽつぽつと販売され始めたバナナハート。炒め物や炊き込みご飯など、東南アジアの食文化を自宅で楽しめるのもゆったりした田舎ならではの魅力。
いちき串木野ライフ、満喫してます。
ゼロから作ったマーメイドプログラム
ももさんがマーメイドにのめりこんだ経緯についてもお話を伺いました。
幼少期に観た映画『スプラッシュ』に憧れて、「私もマーメイドになってみたい!」と始めたマーメイド活動。
14kgもあるシリコン製の尾びれを取り寄せたのがきっかけでした。

当初は「危険すぎる」と団体から相手にされず、「それなら自分でつくろう!」と、独自に教本やプログラムを立ち上げ。
全国的にもようやく一般的になりつつあり、今では“マーメイディング”という新しいジャンルとして認知されるようになりました。

海と社会をつなぐマーメイド
マーメイドとしての活動は観光やイベントだけでなく、出会いや体験の場でも喜ばれています。
最近では、とある団体からの依頼で、車椅子の女の子にサプライズ登場。
「人生2回目の海」という女の子に会うため、野球部の高校生たちが足場を整備し、障がいのある子たちと海に入る予定でしたが、その日はまさかの津波警報。
海に入るのは断念したものの、グリーティングでの対面は実現し、忘れられない時間になりました。
また、吹上浜フィールドホテルではアクティビティとしてマーメイド体験を提供。
ホテルのプールで変身体験をサポートし、訪れる人々に特別な時間を届けています。

「人魚の涙」を拾う
マーメイド活動は、環境への貢献にもつながっています。
浜辺で集めたマイクロプラスチック──“人魚の涙”と呼ばれる粒を使ってアクセサリーを制作。
遊びながら環境を守る工夫を、子どもたちと一緒に楽しんでいます。
「海は私たちの生活の一部だから汚いまま放っておけないよね」って、よく友人と話をするんですよ。
「海ゴミ拾い箱」を設置したり、地域の方と海洋ゴミの回収作業を続けたり。
小さな一歩を積み重ねながら、海と人をつなげています。

田舎だからこそ、多様に働く
夏はインストラクターやマーメイド活動、冬は潜水作業やカフェの仕事。
都会のように「一本の大きな柱で稼ぐ」よりも、いくつもの仕事を組み合わせて暮らすのが地方流。
冬場は漁船に絡まったゴミを除去するために潜水士としての活動をしています。
近所の薩摩藩英国留学記念館でカフェのお手伝いもしたり。
様々な人との関わりの中で、人と人との出会いが次の仕事に繋がるんですよね。
移住者へのメッセージ
「地域を盛り上げたい」よりも、「自分たちが幸せであること」を優先する。
それがももさんの人生観。
だからこそ伝えたいのは──
いちき串木野は“好きなことを極端に楽しめる人”にこそ合う場所だということ。
自然や海に代表されるような自分自身の”好き”が明確なら、ここは天国。
子育て環境も「都会にない豊かさ」を与えてくれるはずです。
ももさんの暮らしから伝わってくるのは、“不便さを補って余りある自由と豊かさ”。
「庭に海がある」生活は、きっと誰もが一度は夢見たことのある子育てのかたち。
幼少期に海外で過ごし、清水・静岡・東京、そして鹿児島へ。
10年ごとに新しい地へ移りながら、そのたびに海と共に生きてきたももさんの人生は、まるで潮の満ち引きのように、自然と寄り添うリズムそのものでした。
そして自分自身で楽しさを見つけられる人が向いている地域であるという話もすごく面白くて。
与えてもらうことを待つ人よりも、自分で楽しみを探し出そうとする好奇心のある人。
そんな人にとってはたくさんの宝物が眠っている、そんな地域なんだろうなぁと感じました。
