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決め手は人の良さと空の広さでした
- 家族構成:単身
- 年代:20代
- 職業:いちき串木野市地域おこし協力隊
いちきくしきのい~くらしナビ内で連載している「移住者インタビュー」。
移住者目線で感じるリアルないちき串木野暮らしの声をお届けしており、ご好評いただいています。
今回から新企画として、いちき串木野に「定住」している方にもお話を伺い、ずっといちき串木野市に住み続けているからこそ見える魅力や課題をお話しいただくと共に、移住を検討中の方へのアドバイスもいただきます。
今回は、いちき串木野市観光案内所で働く竹原勇輝さんのインタビュー後編です。
前編はこちらから→https://ichikushi-ekurashinavi.jp/688/
西郷どんの格好をしての活動は、1年間続けました。本業とは別に声がかかれば、シフトを調整してもらい、休みの日を使って「たけどん」として活動する日々。大河ドラマが放送された年は、ほぼボランティアとして取り組んでいたそうです。
「たけどん」は想像以上の注目を集めました。「もし自転車屋だけをしていたら出会えなかった、異業種の方や幅広い世代の方と交流できるようになった。やってよかった」と竹原さんは振り返ります。その出会いが、モチベーションにもつながっていたそうです。
そんな竹原さんですが、「いちき串木野市をPRしているつもりはない」ときっぱりと言います。
「ピンポイントで特定のエリアをPRするのは、住んでいない人にとっては少し重たく感じられることもある。だから、“鹿児島っていいね”“日本の鹿児島に行ってよかった”と、もっと広い視点で思ってもらえたらうれしい」と話します。
実際、鹿児島に来る多くの観光客は、県内のいろいろな場所を巡ることを楽しみにしています。
「“いちき串木野だけに来て!”と押し出すよりも、周辺の自治体のスポットやお店も紹介して、鹿児島全体を好きになってもらいたい。そのための【ハブ(拠点)】のような存在でありたい」と語ります。
竹原さんが思う、いちき串木野市の魅力は、ズバリ“食”!美味しいお店や新鮮な食材が豊富にそろっているのが、このまちの何よりの魅力だと語ります。中でも特におすすめなのが「マグロ」。
竹原さん自身も、週に最低でも1回は食べるそうで、「贅沢だけど、いちき串木野市だからこそできること」と話します。
竹原さんは2021年に「マグロ大使」に任命され、マグロの魅力を広めるPR活動に取り組んでいます。役割は、マグロの普及や魅力発信。さらに「マグロを美味しく食べること」も立派な活動の一つです。
FMさつませんだいではレギュラー番組を担当しており、その番組内でもマグロのPRを行うことがあります。
「いちき串木野の住民は外部から来た人を比較的受け入れやすい方が多いんじゃないかなぁ」と竹原さん。その理由について、マグロ漁業の存在が大きく関係していると推測しています。
「マグロといえばいちき串木野市」と言えるほど、マグロ漁業は地域の基幹産業となっています。「マグロ漁に関わる人たちは、仕事柄さまざまな港や国に出入りする機会が多いこともあるため、自然と外部の人々への理解や対応に慣れている面があるのではないかと思います。
外から来た人に対してもフランクで、あまり壁を作らず、オープンに接してくれる方が多いいちき串木野市。こうした土地柄は、移住者にとっても暮らしやすさや安心感につながる魅力なのではないでしょうか。
地方ならではの“地域との付き合い”には、独特の文化と難しさもあります。
いちき串木野市には“公民館”という集落単位の組織があります。公民館は、町内会より細かい単位で地域の生活を支えているコミュニティで、市内に140以上存在しています。
【自治公民館について】https://www.city.ichikikushikino.lg.jp/machibou2/kominkan.html
公民館では、資源ゴミ出しの当番、交通安全の見守り、小さなお祭りの企画運営など、日々の暮らしに密着した活動が行われています。竹原さんも、仕事との両立にしんどさを感じつつ「誰かがやらなきゃ地域が回らない」という気持ちで公民館の役員を務めていると、正直に語ってくれました。
移住者にとってこのような地域の仕組みは馴染みがなく、負担に感じることもあるかもしれません。さらに、地域には昔ながらの集落意識も残っており、対抗意識や縄張り意識のようなものがある場合も。
また、生活面で注意しておきたい点として、医療体制の不十分さもあります。特に夜間に対応可能な医療機関が限られているので、急な発熱やけがなどで不安を感じる場面もあるかもしれません。小児科に関しては、専門の病院が市内にはなく、小さなお子さんを持つ家庭にとっては心配の種となる可能性が。
移住や定住に関係なく、地域をより良くするために最も大切なのは、「日常の中でのコミュニケーション」だと竹原さんは言います。
あいさつをする、ちょっとした声かけをする、相手の目を見て話をする――そんなごく当たり前のことが、まちの印象を大きく左右します。
「住んでいる人が最低限のことをきちんとできていれば、このまちを好きになってもらえるし、ファンになってくれるはずです。逆に『あれ?』と思われるような場面があれば、それがそのまま市のイメージになってしまうこともあります。」
竹原さんは、「地域に関心を持つことが、地域と関わる第一歩になる」と移住を検討中の方へアドバイスを送ります。
「どうしていちき串木野市がマグロを推しているのか、なぜこの時期にこの野菜が多いのか、そうしたちょっとした興味が、地域の人とのつながりのきっかけになる。疑問に思ったことを実際に聞いてみれば、詳しい人に出会えるし誰かが紹介してくれる。地域に関心を持つことが、地域に入り込む重要なきっかけになるのでは」と話してくれました。
一方で、「やりすぎない距離感も大切」だと竹原さん。全てを無理に合わせる必要はなく、自分のペースを保ちながら、地域と調和するスキルがあれば、より暮らしやすくなると言います。
さらに竹原さんがすすめるのは、「いちき串木野市で全てを完結させようとしないこと」です。いちき串木野市に住みながら、鹿児島市や日置市、薩摩川内市などへ通勤するスタイルも十分に可能。渋滞の多い車通勤と比べてJR通勤はストレスが少なく、同じ家賃でも鹿児島市より広い家に住めるのも魅力のひとつです。
地元での就労や住宅建設への補助金に重点を置くだけでなく、通勤に対する支援(通勤手当の一部補助など)を検討することで、より多くの移住者を呼び込むことができるのではないかと、市への期待も語ってくれました。
今回お話を伺った竹原さんからは、いちき串木野市に長年住んでいるからこそ見えている課題や文化を教えていただきました。
いちき串木野市が移住者を受け入れやすい土地柄だということも伺えたので、移住を検討している方には有益な情報になったのではないかと思います。
好奇心旺盛で、地域の方との交流が苦に感じない方が、いちき串木野市に限らず「移住」に向いているのかもしれません。切り取ったキラキラ移住ライフだけ見るのではなく、興味のある地域のことを少しリサーチしてみたり、可能であれば実際に足を運んでみたりして「リアル」を感じていただきたいです。その行動力があれば、きっと移住しても自分らしく暮らせると思います。
そして移住前から、いちき串木野市に関心を持っていただければ嬉しいです!
【いちき串木野市総合観光サイト】https://ichiki-kushikino.com/
この記事を書いた人:
とこ
生まれも育ちも鹿児島の1児の母。子育て奮闘中!寝かしつけながら寝落ちするのが至福の時間。食べることと喋ることが大好き。デジタル音痴ですが、人との交流を大切に、いちき串木野の魅力を伝えていければと思っています。