【概要版】「かっこいい」に憧れて発酵の道へ
東京から島暮らし経由でたどり着いた場所

プロフィール

塩田亜耶子

いちき串木野市旭町の商店街にある発酵食Lab。
そのオーナーを務める塩田さんに、東京から鹿児島へ移住した経緯やいちき串木野市で暮らす中で感じること等を伺いました。

移住スタイル:
Iターン
家族構成:
夫婦
年代:
40代
職業:
発酵料理研究家
移住元:
東京→薩摩川内市→いちき串木野市

【聴き手=上木寿人(魅力PRライター)、森満誠也(LR株式会社)】

Q.移住前の暮らしについて教えてください。

関西の方で育って、京都の大学へ進学しました。
その後は関東圏で働くことが多かったですが、30歳頃に体調を崩したんですよ。
そこから暮らしを見直すようになり、島暮らしに憧れ始め、2013年に薩摩川内市の地域おこし協力隊へ着任。甑島で3年間の協力隊生活を経て、現在はいちき串木野を拠点として発酵食Labの運営や発酵教室等を開催しています。

Q.島暮らしに憧れたきっかけは何でしたか?

旅行で訪れた伊豆大島へ通うようになったことがきっかけでした。
私自身がそれまで都会にしか住んだことがなかったので、島暮らしは面白いなぁと思うことが多かったんです。
例えば海を見ながら「今日はしけてるなぁ」って言うとするじゃないですか?
その「しけてる」っていう言葉がまず私にとってはかっこよかったんです。「しけてるって私も言ってみたい..!!」みたいな。笑

Q.薩摩川内市の地域おこし協力隊として着任することになった経緯を教えてください。

伊豆大島へ通うに連れ、島暮らしへの憧れがどんどん大きくなっていく中で、島暮らし×仕事を探し始めるんです。そしたら地域おこし協力隊っていうワードが引っかかって。
私関西人だから「どうせだったら西とか南のエリアが良いなぁ」って思ってたところでヒットしたのが、薩摩川内市の地域おこし協力隊だったんですよ。
業務内容に「食の特産品開発」って書いてあったことも良かったですし、何よりも「協力隊」っていう名前がかっこいいって思っちゃってましたね。笑

地域おこし協力隊時代の塩田さん

Q.憧れてた島暮らしを実際に経験してみていかがでした?

島暮らしはやっぱりかっこいいなって思うことが多かったですね。
例えば、市役所の人達が台風養生をするために窓に木を打ち付けてるところとか。道路の空いてる場所にイカを天日干ししてたり。全部がかっこ良くて、写真撮りまくってました。
自分には持ち合わせてない生きる上での知恵を持ってるって思うから、そこがかっこいいと思うポイントなんでしょうね。島の人達にはずっとリスペクトを持ちながら暮らしてました。
自分で作り出すことへの憧れがあったからこそ、私は今「発酵」を軸とした仕事をしてるんだと思います。

甑島での風景

Q.いちき串木野との接点を教えてください。

協力隊時代に休みの日を利用して、地域の人と仲良くなるためにワークショップを開催してたんですよ。例えば、みんなで味噌を仕込んだり、キムチを作ったり、それぞれ作ってきた保存食を交換する会をしたり。
その情報をSNSで発信していたら「薩摩川内市の本土の方でもワークショップをやってほしい」という話をいただいて。
甑島から本土に行くためには、串木野港を経由して出てくる必要があるわけです。
本土に用事があるたびに串木野港を利用するので、どんどん串木野のことには詳しくなってきて。

上甑島での味噌玉づくりワークショップ

Q.いちき串木野の人とも交流するようになっていきました?

そうですね。いちき串木野市でも協力隊制度が導入されて、いちき串木野の協力隊の人達ともしゃべるようになって。
毎回ワークショップの道具を船に積み下ろしするのも大変になってきたので、本土側の宿&倉庫代わりに部屋を借りたんですよ。
部屋の1階に共有スペースがあったのでそこでも発酵教室をやってみようと思い、いちき串木野で発酵教室をスタートすることに。

教室の様子。手前が塩田さん

Q.レンタルスペースから自前の教室に拠点を移す経緯を教えてください。

2015年にレンタルスペースで発酵教室をやり始めて3年間ぐらい続けてたんですけど、共同所有の場所で続けることの難しさを感じるようになって、自前で教室を持ちたいと思うようになるんです。
そのタイミングで、今は倉庫として使ってる発酵食Labの隣の物件に出会うんですよ。
値段も手頃だったので「やってみるか!」と思って、自前の教室で発酵教室を始めることに。
ただ、スペースとして小さかったので6人ぐらいしか入れなくって。。
午前&午後に分けて、それぞれ6人ずつで教室をしてたんですけど、続けるうちに「これは身体がもたんわ」と思い始めてきたんですよ。
なので今は大き目のハコに移って、たくさんの人数でも対応できるような広さの教室でやってます。

現在のキッチンスタジオ

Q.発酵食Labをスタートするきっかけは?

きっかけは主人が大けがをしたことですね。
けがをするまで、電気工事の仕事をしてたんです。電柱登ったりしながら。ただ、大けがをしてそういう作業が難しくなってしまって。
主人に何か仕事をさせないとなぁと思ってたタイミングで「じゃあ一緒に店すっか!」って思ったんですよ。

発酵食Lab

Q.一緒に店すっか..!?

特に何も深く決めずに「教室の隣も空き家だし、店にしちゃってそこで一緒に働いたら良いじゃん!」って思って。笑
物事を始める時、スタート時点では深く考えすぎないようにしてるんです。
人生色んなことがありますが、その時その時で最善を見つければ良いんですよ。きっと。
【発酵食Lab公式HP:https://hakkolab.com/

直売所で飲める甘酒豆乳は季節のフルーツと組み合わせた物もあり絶品(甘酒の概念変わります!!)

Q.お休みの日の過ごし方を教えてください。

休日も仕事してることが多いです。笑
あ、でも、しんどい時はすぐサボりますよ。
電話持たずにパラゴン(喫茶店)行ってぼーっとしたり。
どうしようもなく疲れた時は、味噌を仕込みます。味噌を仕込むと目の前のことだけに集中できるので、瞑想に近いような感覚になれてすごく良いんですよね。

発酵食Labで購入できる味噌

Q.いちき串木野市のもっと良くなったらいいなぁと思うポイントは?

もっといろんな人が入ってきやすいような場所にしたいですね。
やっぱり人がいないと面白くないですもん。だからもっとお店が増えたら良いのに、とは思います。
自分自身がもっと面白くなりたいから。
人と人のつながりをきっかけに、どんどんまちに関わる人が増えていくようなカタチが理想だなって。

Q.人が入ってきやすいまちになるためには具体的にどんなことが課題だと思います?

ありがたいことに「私もいちき串木野でお店やってみたい!」と言ってくれる友人は居るんですけど、一緒に物件を見に行ってみると、チャレンジの一歩目を踏み出しやすいような物件がほとんどなくて。
建築的に改修工事が難しいものだったり、そもそも大きく手を入れないと使えないような物件ばかりで。今のままだと「とりあえずチャレンジしてみよう!」が出来にくいなぁって思っています。
私自身、基本的に目の前のことしか考えてないので「ダメだったら辞めればいいんだもん!」の精神で、どんどんチャレンジ出来る雰囲気の街になると、もっと毎日が楽しくなるよなって思います。

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